報道界が信用されなくなりつつあるというだけのこと
しかし、それでもなぜ国民は、安倍内閣を支持するのか。僕の長いジャーナリスト人生でも、これだけ問題山積みの内閣が、支持率を下げるどころか、上げるなんてことは初めてだ。
[田原総一朗「ついに支持率が上がりはじめた安倍内閣、何が起きているのか?」 << 「BLOGOS」]
つまり、自分たち賢明なるジャーナリストたちの誘導するほうへ民意が動かないのはおかしい、民意のほうが間違っている、ということのようだ。
こういうのを見ると、報道界の人間は本当に問題を理解していないのか、理解できないのかと、ため息が出てくる。
一言でいえば、そんな報道界を、そんな報道界だからこそ、国民が信用しなくなりつつある、ということにすぎない。
メディア・リテラシーのある人間であれば、特に関心事については、例えば記者会見でのやりとりを報道媒体が恣意的にまとめた記事を読んで鵜呑みにするのではなく、記者会見自体の動画や文字起こしにアクセスする。特定の〈正しいことが書かれている新聞〉の社説ではなく、ネットなどで交わされる種々の是非賛否の意見に触れつつ考えるようになっている。
ジャーナリストの多くはそんな時代状況を全く理解せず、前世紀のままの脳で、自分のペン一本で社会を動かせる気になっているから、的外れなことばかり言い続けるわけだ。
上記の記事についても、全体的にツッコミどころだらけなのだけれど、書いている田原氏は自身の問題に全く気づいておらず、なぜ自分の思惑通りに民意が動かないのかと苛立っている。そして、これは彼に限らず多くのジャーナリストたちにみられる症状であり、しばしば「日本社会がウケーカしているせい」とか言いだしたりするのはよく知られているところである。