先日のエアコンデマに関連して、世耕経産相がわざわざ事実関係をTwitterで説明してくれている。

この非常時に、担当閣僚にこんなくだらない手間をかけさせていることからも分かるように、カツドーカたちはただ政治の邪魔をしているのみならず、被災地の救援活動の邪魔をしているのである。有害無益であることこの上ない。カツドーカたちをのさばらせておくと、多数の人命を危険にさらすことになる。

これに対し、件のデマを広めたカツドーカやその擁護勢は、友人から聞いた話(ただしその「友人」が実在するのかどうかは客観的に確認できない)をツイートしただけだとか、断定的な発言ではなく個人の感想にすぎないからデマではないだとか、無駄な言い訳ばかりしている。伝聞や想像があたかも事実であるかのごとく言いふらされたもの──それはまさしく教科書的なデマにほかならないではないか。

関東大震災の時、朝鮮人が井戸に毒を入れたというデマに煽られた人々が、朝鮮人を虐殺するという悲劇が起きた。あのデマも「友人から聞いた話」や「個人の感想」から始まったのであろうことは、誰でも容易に推察できるはずだ。デマとはそういうものなのだから。

一市民のツイートに対して閣僚が真面目に批判を加えるのは大人げない、などという意見も散見された。しかし、関東大震災の時の朝鮮人デマも、心ある政治家や有識者たちが必死にそれがデマであることを強調したにもかかわらず、デマは暴走して虐殺事件を多数引き起こすまでになったのである。しょせんは一市民のツイートだなどと言ってはいけない。災害時の不安な民心には、こういう些細なデマも燎原の火となって広がるのだ。

デマはデマである。デマは初期段階でつぶさなければならない。そのことを、私を含め多くの人々は、今までの大災害を経てさんざん学んできたはずである。もっとも、ほんの数年で東日本大震災の教訓も忘れてしまう残念な脳の持ち主も少なくないのが実情であるが。

そしてなにより、本件ではっきり分かることがある。デマを流す側はまともな根拠もなくいいかげんなことを一言流すだけで済むが、それがデマであることを指摘しつぶす側はその何十倍もの手間を必要とするのである。エアコンデマは1ツイートとして発信されたが、その内容が事実とは異なるものであることを説明するために世耕経産相は、少なくとも上掲の7件を含む多数のツイートを発信しなければならなかった。

デマは、発する側のコストはほぼゼロであるが、つぶす側のコストは膨大である。特にこういう災害時において、情報が確かかどうかを検証せずにみだりにSNSなどへ垂れ流す行為は、厳に慎まなければならない。また、自分の関わった情報が事実ではないことに気づいたら、すみやかに削除や訂正などを施さなければならない。友人から聞いた話をツイートしただけ、などと軽く考えてはいけないのである。

さらに言っておこう。件のエアコンデマを飛ばした人は、単なる〈一市民〉ではない。彼女の正体は、検索すれば簡単に分かる。