政府のキャッシュレス決済5%還元キャンペーンの行く末は
2%とか聞いていた話が、5%になりそうです。
安倍晋三首相は22日、2019年10月に予定する消費増税への経済対策として、クレジットカードなどを使ってキャッシュレス決済した際に5%のポイント還元を検討する考えを表明した。
消費税の議論にキャッシュレス決済のポイント還元の話が持ち込まれるなんてのは明らかにおかしくて、だったら増税するなよと誰もがツッコミを入れたくなると思います。ですが、まあ、キャッシュレス決済の普及という点だけでいえば、私は自分が便利に生活できるようになるので賛同する立場です。しかも5%還元ということにもなれば、これはビシバシとキャッシュレスで決済しまくってやろうじゃないかという気になってきます。
単純に私がクレジットカードや電子マネーで支払っている分を合計すると、月10万円ぐらいになりますが、その5%というと5千円ですね。それが9カ月で4万5千円になります。
キャッシュレス決済をするだけで9カ月限定で合計4万5千円が還元されるなんていうおいしい話、拒む理由がありませんよ。
しかし、おいしい話にはもちろん裏があるわけで──
キャッシュレス決済によるポイント還元は中小小売店での購入分を対象とする方針だ。クレジットカードや電子マネー、QRコードなどでの決済が対象となる。ポイントを発行するカード会社などを通じて還元し、会社の負担分を国が補助する。
単純に次の点が疑問です:
- 対象となる「中小小売店」にはどこまでが含まれるのか。また、対象の店頭で識別可能なのか。個人的には、コンビニやドラッグストアで使えないのなら話にならない。
- 対象となる「クレジットカードや電子マネー、QRコードなど」にはどこまでが含まれるのか。低所得者層の負担減を考えるなら、デビットカードやプリペイドカードにも適用するのは必須だ。
- ポイント還元分を国が補助するためのスムーズなシステムが、来年10月までに構築可能なのか。
というわけで、政府によるキャッシュレス決済5%還元キャンペーンの実効性には、ちょっと疑問符が付きます。
ところで、商店街の個人商店などの中小小売店がキャッシュレス決済を導入する場合、クレジットカード系や交通系より、QRコードを使った電子マネーのほうが導入コストがはるかに安いので、それを推奨します。中国で Alipay や WeChat Pay が屋台にまで普及しているのは、QRコードという安い“ローテク”を使っているからです。日本ではQRコードによる決済手段として、最近テレビCMを打ち始めた Origami Pay というのがあります。私はかなり前からスマートフォンに Origami Pay を入れていますが、今はまだ使える店があまりないので、この機に普及してほしいと思っています。