ここひと月ほどは、キャッシュレス決済関係でなかなかおもしろいことが続きました。

まず最初に驚いたのは、11月8日に発表されたこれ──

何が驚きなのか分からない人にはさっぱり分からないと思いますので、説明します。

牛丼関連でいうと、松屋はかなり前から交通系電子マネー(Suicaなど)に対応しています。すき家に至っては、交通系どころか主要な電子マネーおよびクレジットカードを網羅しており、何とAlipayまで使えます。そんな中、吉野家でキャッシュレス決済といえば、9年前にWAONを導入して以来ずっとWAONだけという状況が長らく続いていました。なぜかWAONですよ、WAON。イオングループでもないのにWAONです。

なぜ吉野家は、数ある電子マネーの中からよりによってWAONのみを採用したのか、これは当初から謎とされてきました。

そんな吉野家が、WAON対応から9年、ようやく交通系電子マネーの導入に踏み切ったのです。普通に考えれば順序が逆のような気がしますが。

ともかくこれで、吉野家、松屋、すき家のいずれも交通系電子マネーで事足りる状態となりました。どうでもいい話ですが、私は別に牛丼が好きというわけではなく、それらの店に行ってもたいてい牛丼以外のものを注文しています。

さて、吉野家がついに交通系電子マネーに対応した、と驚いていたところ、すかさず飛び込んできたニュースがこれ──

何と、私が勝手に推してきた Origami Pay を吉野家が導入しました。身近では Origami Pay の使える所がローソンぐらいしかなく、もっと普及してほしいと思っていたところへの、吉野家の英断です。

いやー、これはうれしいですわ。できればこれを機に Origami Pay の使える店がさらに増えてほしいですね。

私がなぜ Origami Pay を推しているかというと、これも別に大した理由があるわけではなく、QRコード/バーコード決済を提供している他の企業が好きではないからなのです。ほら、あの、LとかRとかは、どうもね。新参ベンチャーのOrigamiにはぜひ頑張ってもらいたいところ。

そう、頑張ってほしいのです。だって、こんなふうに喧嘩を売られたのですから──

仕掛けてきましたねぇ。ふーん、後ろに付いているのはあの企業ですか。これはなかなかの脅威ですな。でもどうせあの企業だから、ちょっとユーザが増えたとたんにシステム障害が起きたりするんじゃないですかねぇ。

え? あ?

なにその予想通りの展開(笑)。

──という具合に、すっかりあの企業の思惑通りに踊らされている消費者も少なくなかったようです。

え、小山芳立はキャッシュレス決済推進派なのにこの祭りには乗らなかったのかって? 頭が悪いですね、あなた。頭が悪すぎます。私が言っていたのはこうですよ──

みだりに流行を追いかける必要はないが、社会の大きな流れにはある程度対応できるようにしておかないと、あとで追いつけなくなって大変なことになるから、早いうちに世の中の変化には慣れておいたほうがよい、ということだ。
「キャッシュレスは時代の流れ」。ただし部分強調は筆者]

分かりましたか? 世の中の変化に慣れるというのは、祭りで踊らされることではありませんよ。

ところで、その祭りの混乱のほとぼりもさめないうちに、2日後にこんな事故が──

ユーザは阿鼻叫喚の大パニックに陥っていたようでしたね。と思う間もなく、その翌日──

政府が7日、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を政府調達から事実上、排除する方針を決めたことで、華為の基地局を設置しているとされるソフトバンクなど携帯電話大手各社は事業の見直しを迫られる可能性がある。

あーあーあー、ご愁傷さまです、笑いしか出てきません。