中島哲也監督『来る』 日本、2018年

〔2018年12月17日(月)鑑賞〕

ふらりと、ふと見たくなって見た。何といっても出演者の顔ぶれがやたら豪華なのだ。

幸せそうな一家を襲う、正体不明の「あれ」─。

ある意味でアニメ的ともいうべき映像で、血がドバドバと流れ肉が切り裂かれまくり人がザクザクと殺されてゆく割には、それらによる怖さというのはさほどのものではない。むしろゾクゾクとする怖さ、日本のホラーならではの怖さというものはしっかり持っているので、みだりにスプラッターにしなくてよかったのではという感じがする。

全体的に、いい意味で期待を裏切ってくれる作品だった。まるで霊媒師のように見えないキャバ嬢の霊媒師、いかにもおどろおどろしいものが出てきそうな場面とは程遠い状況で人が切り裂かれ吹き上がる血しぶき、そして中盤からのどんでん返し──。

いや、これはホラーというカテゴリーには入れないほうがいいのかもしれない、とも思う。描かれているのは、化け物のよりももっと怖い、外見は善良そうに見える人間たちの闇のすがたなのだから。

推奨度: 60点(/100)