医師から「息子さんには二つの道がある」と告げられた。一つは、つないでいる器具や管を外す選択。自然に臓器が弱り、命が尽きることになる。残された時間は2週間くらいという。もう一つは、臓器提供を選ぶ道だった。

「二つの道」のうち、私なら前者を望む。ドナーカードも「3. 私は、臓器を提供しません」に丸をつけて携帯している。

記事で紹介されている家族は後者を選んだ例である。後者を選ぶ人は、それはそれでよい。そのことに私は口を挟むつもりはない。どちらの道を選ぶにしても、当人や家族が考えて出した結論である。

ただし、後者を選ぶことのみが善であるという風潮が強くなるのは間違っているし、そういう社会になってほしくはない。あたかも脳死臓器提供を選ばない奴は非国民だと言わんばかりのキャンペーンを、厚労省と医療業界が一緒になって展開し、さらに報道媒体が煽るという現状は、極めて不健全だ。

私なら前者を望む。「自然に臓器が弱り、命が尽きることになる」という道を。