米ボーイング(Boeing)は、ここ数か月で2件の墜落事故を起こした同社737MAX型機に搭載されている失速防止システム「MCAS」を10日以内に修正する。

ボーイング737MAXが5カ月で2機墜落したのは、MCASなるものの欠陥が原因である可能性が高い、という話は聞いていましたが、そもそも「MCAS」が何の略であるのかという基本情報を教えてくれる記事がなくてイラついており、何とか自分で探してきました。

“Maneuvering Characteristics Augmentation System” だそうです。「操縦特性向上システム」と訳されています。

ちょっと私は驚きました。実は、一定以上の規模の民間航空機にはTCASという装置が搭載されていて、恐らくTCASとMCASの「-CAS」の部分は同じ言葉の略だろう、と私は勝手に想像していたのですが、これが違っていたのです。確かに、挙動の違いを考えると、同じ用語の略であるわけがないのでして。

TCASは “Traffic Collision Avoidance System” の略で「空中衝突防止装置」と訳されます。簡単にいうと、TCASを搭載した飛行機同士が衝突しそうな感じで接近したときに、片方の機には「右旋回、上昇せよ」と指示を出し、もう片方には「右旋回、下降せよ」と指示を出すなどして、衝突を防止する優れものです。航空管制官の指示よりもTCASの指示を優先するよう、現在の操縦士たちは指導されています。

今話題のB737MAXのMCASのほうはというと、飛行機が失速状態に陥りそうだと勝手に判断したら勝手に機首を下げてくれるという、何だか大きなお世話的な装置です。

TCASは飛行機の衝突を防止するために警告・指示を出すだけの装置ですが、MCASは飛行機の失速を防止するために勝手に操縦してしまう装置です。素人考えですが、MCASって、何これ、怖くないですか?

とはいっても、要は、MCASが変なことをした場合には操縦士がただちにシステムを解除してしまえば事なきを得るのですが、そもそもMCASというのが新しい装置なので世界の操縦士たちもよく分かっておらず、その扱いについては訓練メニューに入っておらず、またボーイングも「あぶないのできをつけてください」と言ってはいたものの周知徹底がなされていなかったようで、というか「あぶないのできをつけてください」とか言わないでそもそもその欠陥装置を何とかしておけよボケという話にしかなりません。

さらにいうと、だいたいなぜボーイングはB737MAXにMCASなどという変なものをわざわざ搭載することにしたのかというと、B737MAXの構造上やや機首が上がり気味になる特性があるからだそうです。だったら、その機首上がり癖を直すのが筋ではないかと思うのが普通でしょうに、何を考えているのですか、ボーイング。