かつてカメラ目線だった
昨夕行われた安倍首相の記者会見は、新型コロナウイルスに関する既知の情報に中途半端な精神論を和えただけで特に中身のない空疎なものであり、あんなものはないほうがよかったのではないかと思ったのは、私だけではないはずです。もっとも、特措法の成立を受けて首相が何もしないのでは、さすがに格好がつかない、という事情も分かるのですが。
あの記者会見に対する反応をSNSで眺めていておもしろかったのは、安倍内閣支持者や自民党支持者が的確な批判をしている例がよく見られたということです。経済政策や医療整備について何も語っていないという点に、しっかりツッコミを入れていました。
一方、似非リベラル・似非左派の方面はどんな感じかというと──
安倍首相の会見に参加した。
— 阿部岳 / ABE Takashi (@ABETakashiOki) March 14, 2020
前回よりさらに2分長い21分、言いたいことだけ言う冒頭発言。台本を読み上げる「質疑応答」。
前回同様、そこで打ち切ろうとしたところで多数の記者から「まだ質問があります」と声が上がり、続行になった。
私は「総理、これが記者会見と呼べるんですか」と尋ねた。 https://t.co/K1CPlzOd6F
質疑応答の時間をわざわざ延ばさせた上で出てきたのが「これが記者会見と呼べるんですか」という〈質問〉だったようですが、私にはこれは無駄な質問としか思えませんね。
安倍首相が演説の際にプロンプターを使用していることをやたらと揶揄する人も、多数見受けられます。プロンプターなんて、細川護煕氏以来これまで何人かの首相が使ってきた機材でして、なぜ今さら安倍首相が使用することに関してのみ馬鹿にする必要があるのか、私にはよく分かりません。まあ、どうせ〈安倍をたたけるなら何でもいい〉といういつものアレなのでしょう。外国の首脳も演説でよくプロンプターを使いますよ。
ちなみに、プロンプターは今時(というかずいぶん前から)テレビのニュース番組で当たり前に使われている機材です。まさか、アナウンサーがしっかりカメラ目線で語っているのは、原稿を直前に丸暗記できているから、などと思っていましたか?
プロンプター絡みではこんな〈批判〉も:
安倍総理の会見。
— 蓮舫・立憲民主党(りっけん) (@renho_sha) March 14, 2020
カメラ目線で国民に語りかけることが一度もなく、右と左のプロンプターしか見ていません。
誰のために、誰に伝えるための会見なのでしょうか。
「カメラ目線で国民に語りかけることが一度もな」かった安倍首相に対して手厳しい指摘、さすがは元クラリオンガールです。そう、カメラ目線ってやはり大事ですよね──タレントにとっては。
ところで、第1次安倍内閣が発足してからしばらくの間、安倍首相がしっかりカメラ目線で話していた時期があります。10代の若い人たちにしてみれば知らないあるいは覚えていないのは仕方ありませんけど、それなりの年齢の人たちなら覚えているでしょう。
- 「安倍首相「カメラ目線」やめた これも「反省材料」の一つなのか」 << 「J-CASTニュース」
カメラ目線にしようがしなかろうが、とにかくけちをつけることが先に立っているのが、あの方面の人たちなのですよ。私が前から言っているように、彼らは「保守でもリベラルでもなく、右派でも左派でもなく、反国家的かつ反国民的な勢力にすぎない」ですから、とにかく何にでもけちをつけて反対するだけのことです。はっきりいって邪魔でしかありません。
もし安倍首相がプロンプターを使うのをやめ、原稿を見事にそらんじて演説するようになったら、今度はそれはそれであの人たちは「ヒトラーの演説を彷彿とさせる」とか言い出すのではないでしょうか。また、原稿に目をやりつつも時折しっかりカメラ目線で国民に訴えかける首相演説といえば、私はこんなものを思い出してしまったりもしますが、それがあの方面の人たちの理想なのでしょうかね。
それでは、今日の手洗い啓発は、しっかりカメラ目線で語る政治家の方に登場してもらいましょう。