医療資源の浪費
ジャーナリストによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)体験記が公開されました。
- 「私はこうしてコロナの抗体を獲得した《前編》保健所は私に言った。「いくら言っても無駄ですよ」」(佐藤章) << 「論座」
- 「私はこうしてコロナの抗体を獲得した《後編》PCR検査の意外な結果、そして…」(同) << 同
PCR検査や抗体検査がどのようなものであるか、体験者自身の手によって、それもジャーナリストによって書かれた手記として、参考になる文章ではあります。その点は評価します。
ですが──。
冷静に読んだ人ならちゃんと分かりますよね。PCR検査や抗体検査は、この人の治療に全く寄与していません。
ざっくりいうと、断続的に発熱していたためPCR検査を受けたかったが受けられず、代わりに伝手を頼って抗体検査を受けたら陰性で、そのあと味覚障害が出たからコネを使って強引にPCR検査を受けたらやはり陰性で、レントゲンで肺炎と診断され、症状が治まってきてから再び抗体検査を受けたら初めて陽性となり、もう治っていますねおめでとうございますチャンチャン──という流れですよ。
わがまま勝手を押し通して無駄に3回も検査を受けるという医療資源の浪費をしでかしたものの、実は家で寝ているだけで治っていた、という症例です。現在、COVID-19に対しては日本の医療全体がいわばトリアージを行っているような状態ですから、軽症者によるこういう行為は本当に迷惑千万ですよ。
このような体験記を、単に体験記として出してくれるなら、PCR検査などがどういうものであるかを知る上で参考になるともいえるのですけど、この人は何と、自分の体験を安倍政権批判のネタとして使っているのです。彼の愚行を政権批判につなげるのは無理があると思うのですが、まあ〈安倍政権を倒すためなら日本が滅びてもいいと思っている人たち〉の思考様式なんてそんなものです。人類の危機さえも安倍政権打倒に利用することしか考えられないのですよね。
さて、現実を見据えてしっかり対策を打つということでいえば、やはりわれわれにできるのは手洗い励行です。今日もしっかりやっていきましょう。