菅政権を攻めあぐねていた勢力が、何とかいけそうな所を見つけ、一点突破を期してにわかに局地戦を仕掛けた日本学術会議の件ですけれども、どうも騒げば騒ぐほど藪蛇になっている感がありまして、眺めているとついニヤニヤしてしまいます。

いろいろ出てきていますが、特におもしろいのはこれですかね:

北大は2016年度、防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募し、微細な泡で船底を覆い船の航行の抵抗を減らすM教授(流体力学)の研究が採択された。この研究は自衛隊の艦艇のみならず、民間のタンカーや船舶の燃費が10%低減される画期的なものである。このような優れた研究を学術会議が「軍事研究」と決めつけ、2017年3月24日付の「軍事的安全保障研究に関する声明」で批判した。学術会議からの事実上の圧力で、北大はついに2018年に研究を辞退した。

これについては北大の教授からも、ああそういえばあの頃あんなことがあって不思議だったけど裏はこうなっていたのか、みたいな話も聞こえてきています。

これが事実だとすれば、学問の自由を侵害しているのは学術会議のほうではないのかということになってきますね。少なくとも、政府の側はこんなふうに誰かの研究をやめさせるなんてことは直接的にも間接的にもやっていませんし。

さらに持ち得る感想としては、この1件だけですべてというわけでもないのだろうな、というところでしょうか。氷山はどのくらい大きいのでしょうかね。

そして、もう、藪蛇すぎてすでに次のステージに移りつつあるような──

自民党の下村政務調査会長は記者会見で、「日本学術会議」について「法律に基づく政府への答申が2007年以降提出されていないなど、活動が見えていない」と指摘しました。

何だか持続化給付金の不正受給みたいな話になってきてしまったように見えるのですが。

そして、もし──もし、ですよ──もし、仮に、菅首相が最初からここまで(あるいはさらに先まで)見越した上で火をつけたのだとしたら、相当恐ろしいですよ。生半可な気持ちで居酒屋政談のノリで突撃しないほうがいいのでは。