こうなってゆくことは当然の流れであるし、私は賛成である。

真宗大谷派(京都市下京区)は9日、本山・東本願寺[真宗本廟]の御影堂や阿弥陀堂を訪れた参拝者が納める懇志(さい銭)にQRコード決済を導入すると発表した。 ─(略)─ クレジットカード決済も導入、今月下旬以降には読経や納骨の際に納める懇志もキャッシュレス対応できるようにする。
東本願寺(真宗本廟)の御影堂 =京都市 ※出典: 「京都フリー写真素材集」

東本願寺の場合、新型コロナウイルス対策として現金接触を減らすというのが趣旨のようだ。

はっきりいって、今や私が現金を使う場といったら、お寺関係と医療施設とそば屋ぐらいしか残っていない。極端なときには1週間に使った現金が1000円を切ったこともあった。

お寺関係で支払う金額は高めになることもある。多額の現金を持ち歩くことに昔からかなり不安を覚えるたちの私としては、お寺こそさっさとキャッシュレス化してほしいというのが隠さざる本音であり、お寺の維持費、懇志などは今すぐにでもクレジットカードかスマホで決済できるようにしてもらいたい。お寺の保安の観点からも、多額の現金を置いておくのはよろしくないはずで、キャッシュレス化を進めれば賽銭泥棒の心配もなくなるだろう。

もちろん、それが実現するためには、末寺の住職や坊守にそこそこパソコン等を使えるようになってもらい、キャッシュレス決済の機材(テレビCMでおなじみのAirPAYとか、このたび東本願寺で導入したBRsmartshotとか、ほかにもいろいろ)を使いこなせるようになってもらい、さらにお寺には決済手数料を負担してもらわなければならない。だから、私のわがまま通りにお寺が今すぐキャッシュレス化しろと言っても無理なのは重々承知している。とはいっても、今後5年、10年、さらにその先を展望するに、この流れは無視できないこともお寺の方々には理解してほしい。

なお、私が賛成しているのはあくまでも、お寺に参じた際の支払いのキャッシュレス化である。銀行振込など遠隔での支払いには基本的に賛成しない(もちろん例外はある)。現金であろうがキャッシュレスであろうが、きちんとお寺に足を運んで納めるべきものであろう。最も大事なのは参拝なのだから。

ところで別件であるが、東本願寺のキャッシュレス決済導入の発表と日を同じくして昨日、日銀がデジタル通貨の実証実験を行うことを発表している:

前から日銀が研究を進めていた〈デジタル円〉が、いよいよラボからフィールドに持ち出され、実用化が射程に入ってきた。好き嫌いで選べるものではない世界のしくみの変化には、適応できるように備えておかなければならない。