大連休に入る前に
言っておきたいことがある
かなり厳しい話もするが
己のさまを知っておけ

その1

某店入り口の食券機に並ぶ列の先頭──

「ほら、ユイナ、早く決めてよ、食券を買うんだから。ちょっと、ヒロト、じっとしてなさい。ユイナ、どうするの? 何食べる? ヒロト、走り回らないでよ、ちょっとおとなしくできないの? で、ユイナ、どうする? 牛めしでいい? カレー? え、スパゲッティって、そんなものないわよ。こら、ヒロト、いいかげんにしなさい! ユイナ、もう、牛めしにしちゃうからね。え、カレーがいいの? もう食券買っちゃったわよ。あのぉ、すいませーん、食券の払い戻ししたいんですけどぉ」

──ファミレスに行け。せめてテーブルで注文をとる店に行け。

その2

某セルフうどん店に入ると、注文口に20代前半とおぼしきカップルの先客がいた。そのあとに続いた私に店員が言う:「恐れ入ります、麺が茹であがるまで3分お待ちいただいております」─。

なるほどそういうタイミングであった。やがて私のあとにも1人、2人と新たな客が並ぶ。そのたびに店員は、3分お待ちください、あと2分ほど、という具合に案内する。

そうしてやがて3分がたち、麺が茹であがった。

「お待たせいたしました。お客さま、ご注文をどうぞ」と店員が呼びかけると、注文口に並ぶ数人の列の先頭、私の前にいた件のカップル客は、全くもって信じがたい言葉を交わし始めた:

「えっとぉ、何にしよっかな」
「これおいしそうだね」
「そうね。でもあれもいいんじゃない? 季節限定だって」
「でも、こっちのほうが具だくさんだよ」

──君たちは3分間何をしていたのか。海辺のテラスのある地中海料理の店とかに行け。

その3

同じ店にて、別の日──

「えっとー、かけの並を1つ。それから釜玉うどんの並を1つ、明太子のトッピングってできますか? あ、明太釜玉っていうのがあるんですね。じゃあそれ。あと釜揚げうどんの並を2つ。それと、おろし醤油うどんの大を1つ。え、釜揚げのファミリーサイズってのがあるの? すいません、さっきの釜揚げの並2つをファミリーサイズ1つに。それと、釜玉の並も大に。あ、釜玉じゃなくて明太釜玉ね。えっと、やっぱり、かけの並はぶっかけにしてください」

──注文を決めてから並べ。後ろが渋滞する。