コロナ禍で問われる情報リテラシー
はっきりいって私はこの人が大嫌いなのだが、しかし今回の彼はとてもまともなことを言っている。新型コロナウイルスのワクチン接種についてである。
このワクチン接種に関して、私の元にも「接種を止めるように、特に10代の子どもたちへの接種は、絶対に阻止して欲しい」というたくさんのメールが届いています。その方たちと、できる限り連絡を取り、その根拠について聞いていますが、ほとんどすべて、ネットに書かれた不確かなワクチンに対する悪意に満ちた情報を根拠としています。
コロナ禍は、各人の情報リテラシーを問うものでもあるようだ。
この人も書いているように、ワクチンが不安なら自分が接種を受けなければいいだけのことである。しかし、その手の人々の一部は得てして、役所に電話をかけてワクチン接種進捗を妨害したりするので、非常にたちが悪い。
もちろん、大多数がワクチンを打ったほうが集団免疫を形成できるため、政府は接種を勧めているが、強制はしていない。不安なら打たなければいいだけだ。打たない人が2割程度なら集団免疫に影響しない。ところが、あの手の人々はワクチンを打たないことを全国民に強制しようとしてくるから困る。そう、「ほとんどすべて、ネットに書かれた不確かなワクチンに対する悪意に満ちた情報を根拠として」である。
情報リテラシーが問われるとはどういうことか、一例を挙げよう。先日私がたまたまSNSで見かけた件だ。
- 「「ファイザー社、ワクチンが不妊を引き起こすと公式に認めた」は誤り。サイトの切り取りが拡散」 << 「BuzzFeed News」
ざっくり簡単に言うと、〈ワクチンが不妊を引き起こすとの指摘がある。しかし、そのような影響は報告されていない〉とファイザー社のサイトに書いてあるのを、前半分だけを切り取って〈ファイザーがワクチンで不妊になることを認めた〉とSNSで吹聴している者たちがいる、ということである。切り取りは築地や一ツ橋の伝統文芸だが、SNSにも同種の者がウジャウジャいるので、十分に注意しなければならない。
こういうのは、まるっきりデマであるにもかかわらず、一応はファイザー社のサイトの記述を引っ張ってきて切り取ったものであるため、変に信憑性があるように錯覚してしまいがちというところが曲者だ。きょうび新聞やテレビの言うことすらまともに信用できないのだから、SNSなんぞで流れてくる話をきちんとした裏取りもせずに鵜呑みにするのは危険なことこの上ない。