クリエイティブをなめすぎ
「え、こんなちっぽけなデザイン一つに役所はそんなに金を払ったの? 税金の無駄! 住民監査請求!」──というふうに騒ぐ人がよくいるではありませんか。そういうのを聞くたびに頭を抱えたくなりますね。
クリエイティブ職業をなめている人が多すぎませんか? というか、プロの仕事をなめている人が多すぎませんか? こんなものなら自分でもできるとか、簡単に考えるものではありませんよ。
電通が請け負ったピクトグラム開発費は32,587,500円。ピクトグラムは33競技50種類だから一つのデザインに65万円か。高い・・・。 pic.twitter.com/UuiTdntWTe
— 🌈白石草 (@hamemen) August 11, 2021
ちゃんとしたデザインの仕事なら、ひとつのデザインが決まるまでに大量のボツ案が出ます。例えば任天堂はWiiのロゴひとつ作るのにいくつも候補を作っています。オリンピックの50種類ある競技のピクトグラムの候補ならいくつの候補が作られたのでしょうね。 pic.twitter.com/TMtOiMK0Ef
— 炬燵どらごん⋈ (@okotatsudoragon) August 11, 2021
単純に考えて、まずJOCやIOCから概念を聞き取り、様々な資料を見たりしつつ一つのピクトグラムをゼロから考案するのにかかる時間、その試作画を描くのにかかる時間、それを何通りか用意する時間、そしてそれを33競技50種類分こなす時間を考え、単純にデザイナーやそこに関わる人々の時給・日給を掛けてみたら、32,587,500円は全然高くないでしょう。しかもこれらのピクトグラムは、今後長きにわたって汎用性のある素材となるのです。
ええ、もちろん、こういうのを安く済ませる方法はなくもありませんよ。「いらすとや」とかに、上がってきたデザイン案に注文を追加せずそのまま使わせてもらうから安くやってくれ、とでも頼めばいいです。もっとも、それがいいと考える人は決して多数派ではないでしょうがね。