政府の新型コロナウイルス対策は大失敗だったと叫び続ける人たちには、一体どんな現実世界が見えているのだろうか。一体どんな根拠をもとにそんなに自信満々で実情に反することを主張し続けているのだろうか。「嘘も百回言えば真実になる」を実践しているのだろうか。

ワクチン接種が驚異的な速さで進み1年かけずに完了するとか、猛威を振るったデルタ株が急激に抑制されるとかいった事象は、とにかく政府をたたきたいだけの根性の彼らにとってよほど想定外で受け容れがたい展開だったのだろう。認めたくない気持ちは分からないでもないが、事実を認めないと前に進めないということを理解すべきである。

もちろん政府の対策が完璧だったとはいえない。失敗だった部分はいくらでもある。しかし、それらが「大失敗」と言われ、対策全般を否定する理由になるほどのものかといえば、決してそんなことはないだろう。

さて、第5波が収束したと浮かれている時ではない。もしかしたら、ワクチンのおかげで感染者のほとんどが無症状で済んでいるだけであり、数字として出てきにくいだけかもしれない、ということも考えられる。そして、きたるべき第6波への備えが必要だ。これまでの対応で不十分だった点、間違いがあった点などを早急に検証し、次へつなげなければならない。ただし、その議論において、政府の対策が大失敗だったとひたすら連呼する者らの言葉は、役に立たないどころか害でしかないだろう。何せ、一体どんな現実世界が見えていて、何を根拠に物を言っているのか分からない者たちなのだから。