近ごろパナマ文書なるものがニュースになっているため、Twitterなどでも「タックス・ヘブンが──」とつぶやく人が大量に発生しているのですけれども。

それ、タックス・ヘイブンですから!

haven
[héivən] 〔名〕避難所;港
heaven
[hévən] 〔名〕天国、天界

世界にはタックス・ヘイブンと呼ばれる国や地域が結構あって、それらはビジネスに必要なもの、というのは常識の範疇だと私は思っていましたけど、「タックス・ヘブン」がどうのこうのと騒いでいる人たちはタックス・ヘイブンのことを最近にわかに知ったのでしょうね。

そして、用語の誤りを指摘されても改めず、「細かいことはどうでもいい。“ヘイブン”だろうが“ヘブン”だろうが問題に変わりはない」などと開き直る人が彼らの中には多いということこそが問題です。そういう人に限って、偉そうに論じている内容が正確さを欠いていて雑であり、ポイントがずれまくっており、さらにはデマの温床となっているように見受けられるからです。ほら、例えばいわゆる慰安婦問題について「細かいことはどうでもいい。強制性があったことは事実であり──」とか言っている人たちがいますけど、ああいうのと同じですよ。

あなたや私みたいな分際でパナマ文書問題に首を突っ込む前に、ごく基本的なところは押さえておきましょうね。

誤解があるようですが、もちろん、これらのデータの大半は、合法的な投資のためのものであり、同社が脱税やマネーロンダリングといった非合法活動を大々的に展開していたというわけではありません。実際に、金融ファンドを運営するにあたっては、こういったタックスヘイブン制度を使わないと、ファンドの収益の大半が税金で持って行かれてしまって、運用に支障をきたすことから、タックスヘイブンそのものが悪というわけでもありません。

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