「見出しだけでなく記事本文もきちんと読んで」を「新聞を読もう」に書き変える新聞屋たち
- 「東大総長「式辞」に新聞が大はしゃぎ? 見出しに「新聞を読もう」は「我田引水」との声が...」 << 「J-CASTニュース」
ネット・メディアでも見出しの付け方がおかしい例は見かけるので、そのこと自体は新聞に限った問題ではありませんが、この件ではネタがネタだけに苦笑してしまいます。
ネットのおかげで、大元の情報源を参照することが容易な時代となりました。東京大学の入学式での総長の式辞は同学サイトに掲載されています。
ところで、皆さんは毎日、新聞を読みますか? 新聞よりもインターネットやテレビでニュースに触れることが多いのではないでしょうか。ヘッドラインだけでなく、記事の本文もきちんと読む習慣を身に着けるべきです。
[「平成28年度東京大学学部入学式 総長式辞」 << 東京大学]
同総長は「ヘッドラインだけでなく、記事の本文もきちんと読む習慣を」と言っているわけです。「新聞を読もう」ではありません。そして、話の趣旨からすると「新聞を読みますか?」は単なる前振りにすぎません。
さて、主立った新聞系サイトでの見出しの取り方をざっと拾ってみましょうか。
- 「東大生よ、新聞を読もう…入学式で五神学長」 << 「Yomiuri Online」
- 「東大入学式 学長「知のプロフェッショナルを目指して」」 << 「毎日新聞」
- 「東大入学式、総長「新聞読みますか?」 「習慣身につけて」」 << 「朝日新聞デジタル」
- 「「新聞読みますか」 五神真 東大学長が新入生に問いかけ」 << 「産経フォト」
- 「東大学長「新聞読もう」 入学式で訓示」 << 「東京新聞」
見出しに関していえば「毎日」以外はすべて駄目ですね。「新聞読みますか?」はぎりぎりセーフといえなくもないかもしれませんが、「新聞を読もう」は完全にアウトです。また、記事本文を読んでみても、かろうじて誤報・虚報ではないといった感じで、ミスリーディングであることは否めません。
新聞屋さんたち。こんな記事にこんな見出しを付けるくらいなら、式辞全文を掲載したほうがよかったのではないでしょうか。もっとも、そうするとあなたたちの仕事の意味や存在意義が危うくなりますが。
なお、ついでながら指摘しておきますが、東大では「学長」ではなく「総長」が正しい役職名です。上に挙げた5本の見出し・記事のうち、正しく表記できているのは「朝日」だけですね。