行定勲監督『リボルバー・リリー』 日本、2023年

〔2023年8月11日(金)鑑賞〕

猛暑続きの折、家にいてもエアコンで電気代がかさむだけなので、映画にでも行って涼んでこようという魂胆もあったのだけれど、エアコンの電気代よりも映画のチケット代のほうがはるかに高いのであった。

ともあれ、コロナ禍にあって3年以上も映画館に足を運んでいなかったのであるが、久しぶりに銀幕で映画を見るに当たって選んだのは、本作であった。

時は関東大震災の翌年、1924年(大正13年)の東京。埼玉・秩父の一家惨殺事件から逃げ延びた少年、そして彼と出会った元スパイの小曾根百合(綾瀬はるか)が、陸軍から追われる身となる。

見どころは何といっても、随所で繰り広げられる綾瀬のアクション・シーンだ。大正モガのしゃれた装いに身を包んだ彼女が東京を駆け巡り、派手に立ち回りながら銃を撃ちまくる姿は、見ていてほれぼれするほどの芸術である。

しかしながら、それ以外の部分はあまりよろしくない。小さなツッコミどころはいくつもある。上映時間は139分と近年の娯楽映画にしては長めだが、かといって特に中身に厚みがあるでもなく、間延びする場面が目立つので、もっと真面目に作れば120分以内でスピード感のある作品に仕上がるはずだ。死亡フラグが回収されないというのはある意味でおもしろかったが、極めて大きな謎が伏線として用意されながら解決されないままに終わってしまったのは甚だ不満である。

あれだけの豪華な出演陣がそろい、それぞれがすばらしい仕事をしてみせてくれているにもかかわらず、作品としての出来栄えがいまいち芳しくないのは、監督のせいか、脚本のせいか、あるいはその両方か。とてももったいない。

推奨度: 45点(/100)