「説明が不十分」というのは便利な言葉です。たとえどんなに懇切丁寧な説明が長期間にわたり蒸し返しも厭わず繰り返されていても、永遠に「説明が不十分」と言って駄々をこね続けることができます。説明を打ち切られたら「十分な説明もなしに一方的だ」と非難できますしね。

また、報道媒体が特に政府や自治体の施策に関して世論調査の結果として「説明が不十分」という文言を使うときは、実際には報道媒体が必要な報道を怠ってきたことの表れでしかない場合が多いです。つまり、説明が不十分なのではなく、説明が十分に報道されていないということです。

「説明が不十分」──この言葉は、まともに相手にする意味も必要性もない人たちが自ら示すサインであることが多いと、私は思っています。

類義表現として、国会や地方議会で使われる「審議が尽くされていない」というのもあります。

報道で「説明が不十分」などの言葉が聞こえてきたときは、ちょっと思い出してみてください。