「近ごろ学校の近所で大きな火災があり、甚大な被害が出ている。こんな折に学校で火災避難訓練を行うと受験生の心理に影響があるから、訓練は中止すべきだ」─。

もしこんなことを言うアレな教育関係者やらアレな保護者やらがいたら、こいつは何を言っているのかとポカンとするばかりですよね。それが、実際にそういうアレなのがいて、しかも自治体の行政がそれに流されたりしているようなのです。

弾道ミサイルの飛来を想定し、埼玉県小川町が内閣府や総務省消防庁、県と来年1月19日に町立中学校で実施予定だった避難訓練が中止となった。町は「受験生への配慮」を理由としているが、自然災害以外で中止になるのは全国で初めて。大野元裕知事は21日の定例記者会見で「実施すべきだ。中止は命を軽んずる行為だ」と、町の決定を強く批判した。

これは小川町の判断がまるっきり誤りです。そして、大野知事の批判は百パーセント正当です。

小川町の判断基準に従うなら、よそで大地震が起きたら防災訓練は中止、台風による被害が発生したら水防訓練は中止、さらには感染症が発生したら感染症予防講座は中止という、全くもって訳の分からないことになります。このたび避難訓練中止を決めた面々は、そもそも避難訓練というものの意味を理解していないとしか思えません。まあ、どうせまた〈学校に戦争を持ち込むな〉的なアッチ方面の連中がやらかしているのだと思いますが。