日本の報道媒体の劣化ぶりに頭を抱える 羽田空港事故
2日に羽田空港で起きた日本航空機と海上保安庁機の衝突事故について、海外の報道媒体は奇跡の脱出劇として報じている。私もいくつか見て回ったが、本当に総じて日航機の乗員乗客全員の生還を驚きとともに賞讃している。機体の素材が比較的燃えにくいものであったため火が回る時間を稼げたなどの幸運もさることながら、何といっても乗務員によるパニック制御と避難誘導の判断が適切であったこと、そして乗客も落ち着いて彼らの指示に従い荷物を置いて避難したことが大きな要因であると、海外の媒体は伝えている。
過去の飛行機事故について知っている人なら分かると思うが、あの種の事故の場合、下手をすれば乗員乗客379人のうち300人以上が死亡してもおかしくないくらいである。そんな事故において379人全員が脱出したというのは、まさに奇跡の脱出劇だ。いや、奇跡という表現をみだりに使うものでもあるまい。やはり乗務員たちの日頃の訓練の賜物というべきであろう。
さて、そのような脱出劇について、日本の主要報道媒体はどう報じているかというと──
- 「「早く出して」口々に叫ぶ子どもら 乗客が撮影したJAL機内の様子」 << 「朝日新聞デジタル」
そんな「早く出して」などと叫ぶクソガキどもの声を客室乗務員が無視し、状況を的確に把握して適切なパニック制御と避難誘導を行ったことが、全員脱出成功へとつながったのだけれど、どうも朝日新聞としては乗務員の仕事に不手際があったことにしたいようである。朝日としては、無能な乗務員の指示など待たずに、乗客たちがもっと好き勝手に暴れるべきだったと考えているようだ。
- 「羽田JAL機衝突、ペット2匹は救出できず」 << 「日本経済新聞」
ちなみに、ペットを客席に同伴することも可能な航空会社もあるにはあるが、たとえその場合であっても非常時にはペットを置いて脱出するようあらかじめ案内されている。しかるに、脱出時にペットは連れ出すべきだと日経新聞は考えているのだろうか。そもそも荷物を持つなと言われているのに。
ここでは朝日と日経の記事を例に出したが、この2社に限らない。日本の新聞やテレビはどこもかしこも、さては頭が悪いのか、あるいはとにかく何でもいいから悪者を作り出して叩くのが仕事だと考えているのか、そのいずれかもしくは両方だとしか思えない。彼らの劣化ぶりに私は本当に頭を抱えて暗澹たる気持ちになっている。
ともあれ、私たちはこのたびの事故から大きな教訓を得た。もし万が一、自分が乗っている飛行機がこのたびの日航機のようになって緊急脱出しなければならなくなったとき、「早く出して」などと喚くクソガキがいたら、怒鳴りつけて黙らせよう。また、荷物やペットを抱えて避難しようとする奴がいたら、力ずくでその荷物やペットを手離させよう。私は法律の専門家ではないが、そんな状況でけがをさせても恐らく罪には問われないだろうと思う。溺れている人を助けるときに殴ってでも気絶させるのと同じことだ。こんなのは私なんかがここで書き散らすまでもなく、本来なら主要報道媒体がこぞって喧伝すべきことだと思うのだが。