「光る君へ」は歴代最高傑作であることがすでに決定
昨夜はNHK大河ドラマ「光る君へ」第2回「めぐりあい」が放映されました。
まだ2回しか放映されていないけれども、断言してしまいますね。「光る君へ」は紛れもなく大河ドラマ史上最高傑作です。歴代の過去作をはるかにしのいでいます。この脚本はすばらしすぎます。
一応言っておきますが、時代考証的に細かくツッコミを入れるのは、なしにしておいてください。そもそも平安中期の皇族や貴族社会の様子を細部にこだわって再現するとなると、めんどくさすぎます。これは当時としてはあり得ないよな、と私も思うような部分がちょこちょこ出てきたりしますけど、サラッと流しながら見ています。だいたい、平安貴族のドラマを本気で1年かけてやろうとしたらNHKの予算では無理なので、イーロン・マスク氏に出資を依頼しなければならなくなります。
話を戻しまして、第2回「めぐりあい」について。今回もまた『源氏物語』の伏線のような要素が散りばめられていました。とある男が思いを寄せた女の家に夕顔の花が咲いていた、という逸話はまさに「夕顔」の帖そのままであるのは分かりやすすぎますが、それだけでなく、まひろ(紫式部)と藤原道長の再会とすれ違いの様は、それに先立つ「箒木」「空蝉」を思わせるものがあります。そしてなにより、今回のタイトル「めぐりあい」からも分かるように、百人一首に採られているあの和歌を連想させます。
めぐりあひて見しやそれともわかぬまに雲隠れにし夜半の月かな
豆知識ですが、この和歌はかるたにおいては〈一字決まり〉7首の一つです。つまり、100首の中で「め」から始まるのはこれ1首ということです。
そしてさらに──
孟嘗君の「鶏鳴狗盗」の逸話が、まひろの家で余談のようにネタになる場面がありますが、百人一首にはこの「鶏鳴狗盗」を題材にした和歌もあります。そう、紫式部のライバルが詠んだ一首──
夜をこめて鳥のそら音ははかるとも世に逢坂の関はゆるさじ
あの場面で思わずニヤリとしたのは私だけではないでしょう。
ところで、清少納言のこの和歌といえば藤原行成との掛け合いが有名ですが、「光る君へ」には清少納言はもちろんのこと行成も登場することになっているようです。果たしてあの二人の漫才じみたやりとりも見られるのかどうかと期待してしまいますが、まあ、主役は紫式部のほうですからねぇ。
ということで、私はまひろと清少納言のこんな絡みのシーンを妄想していまして──
ある夜、清少納言が内裏から実家へ下がる途上、まひろの家のそばを通りかかる。見ればきれいな月夜である。清少納言は付き人にこう言う: 「こんな素敵な月の光が、身分の低い者の家に差し込んでいるだなんて、腹立たしいわねぇ」─。物陰からこれを聞いていたまひろは「何なのよ、あの女!」とブチキレるのであった。
にげなきもの。下衆の家に雪の降りたる。また、月のさし入りたるもくちをし。