昨夜のNHK大河ドラマ「光る君へ」第22回「越前の出会い」は、何というか、すっかり朝ドラ風味になっていた感があります。まあ、それも仕方ないのですけどね。何せそもそも紫式部が宮仕えする前のことなんてほとんど分かっていないから、基本的にすべてフィクションとなる上に、越前にいた時分のこととなると都や朝廷での出来事とも絡めることができませんので、無理やりああしてすったもんだを捏ね上げるしかないわけです。

今回おもしろかったのは、まひろ(紫式部)の書き留めた和歌ですね。

かきくもり夕立つ波のあらければ浮きたる舟ぞしづ心なき
[紫式部]

この和歌は、越前へ赴く途上、琵琶湖を舟で渡っていた時に天候が荒れてきたことを詠んだものと聞いています。しかし本ドラマでは、越前の国府に着いてからのまひろが、父、藤原為時の任を思って詠んだもののように使われています。これはなかなかおもしろい解釈というか、ドラマ的な展開の仕方だと思います。こういうところが本ドラマの脚本はよく出来ていますね。

さて、史実では2年ほどで単身帰京することになる紫式部ですが、それまでの間、ドラマのほうはどう進められてゆくのか、期待していいのかどうか──。