昨夜のNHK大河ドラマ「光る君へ」第24回「忘れえぬ人」では、しょっぱなから藤原宣孝の「都人は心の内を顔には出さぬが、お前はいつも出ておる」という台詞で笑いましたね。実際、吉高由里子の演ずるまひろ(紫式部)は何もかもが顔に出るようなキャラとして描かれ続けていて、その点がまた平安時代を舞台にした大河ドラマというよりラブコメを思わせたりもするわけです。ちなみにちょいとした雑学ですが、平安貴族の女性は、表情を変えるということ特に笑うということはなるべくしないようにしていました。というのも、あの当時の白塗りの化粧は石膏みたいにバリバリで、みだりに顔の筋肉を動かすと文字通りヒビが入ってしまうからです。笑うときはどうするかというと、扇で顔を隠して「ホホホホ」と小声を立てるわけで。

それにしてもとにかく今回冒頭は宣孝の名台詞の連続で、グイッと引き付けてくれました。実際の宣孝もあんな感じだったのだろうという気がしますし、佐々木蔵之介というキャスティングは最高だと思います。下級貴族だけれど仕事ができて、浮名は絶えず、少々型破りなところもありつつ、すっかり中年となった頃に、紫式部のような才気煥発な女性をわざわざ口説きにかかるとか、かっこよさがありますね。どうも気に入りません(笑)

越前で暮らすまひろのもとへ、筑紫へ赴いた友人さわの訃報が届きます。同封されていたさわの和歌は、実際にさわのモデルとおぼしき筑紫の君が紫式部とやりとりしたものだそうです。

ゆきめぐりあふを松浦の鏡にはたれをかけつつ祈るとか知る
[『紫式部集』]

都の藤原道長はというと、史実ではそろそろ確か体調を崩したかなにかでやる気をなくしてきて、仕事をやめたいとぼやきだす時期だそうで(笑)、その雰囲気が今回はちょっと出ていたように思います。ドラマでは、長徳の変において藤原斉信にしてやられたということが、かなりショックだったようですね。長徳の変といえば、大赦を受けて都に戻ってきた藤原隆家はなかなかいいキャラでした。兄の藤原伊周が帰京するのは数カ月あとになりますが、彼もまだ出番があるはず(しかも結構泣かせる場面になるはず)なので、期待しています。

さて、次回はいよいよまひろも帰京の運びとなります。