昨日少し触れた「リング」関連作品についてですが、私が人に話すと高確率で勘違いされて話がかみ合わなくなりますので、事情を簡単にまとめておきます。

鈴木光司『リング』

言うまでもなく原作小説。1991年出版。前年に『楽園』で作家デビューした鈴木光司の2作目。

〈呪いのビデオテープ〉という、それだけを聞くとB級ホラー風味で笑ってしまうようなコンセプトですが、読んでみればとてもよく出来たサスペンスホラーです。『らせん』『ループ』など続編があります。

テレビドラマ「リング」

原作小説をテレビドラマ化したもの。1995年、2時間枠の単発ドラマ。私が但し書きなしで「テレビドラマ版の『リング』」と言うときは、これを指します。

原作を多少いじっていて、結末も微妙に変わっていますが、概ねそのまま映像化しているといえます。高橋克典主演。助演の原田芳雄もいい味を出しています。半陰陽(性分化疾患)の美少女、貞子を演じた三浦綺音の妖艶さは見事でした。

「FOD」で見られますので、強く推奨します。

映画『リング』

1998年の映画化作品。

そもそも主人公を所帯持ちの男性からシングルマザーに変えたところからして、当時上昇株だった松嶋菜々子を主演に起用するためだけにわざわざ改変したとしか思えず、そこからすでにおかしくなっています。彼女の演技にケチをつける気はありませんが、例のあのテレビ画面から這い出てくる貞子キャラとか、もうひどいとしか言いようがありません。すっかりギャグになってしまい、原作の貞子の持つ背筋にゾクッとくる恐ろしさなどかけらもありません。

テレビドラマ「リング〜最終章〜」

1999年に放映された連続ドラマ(1クール)です。

私の経験では、「テレビドラマ版の『リング』」と聞くとほぼ百パーセントの人がこれを想起します。というか、これしか知らない人がほとんどみたいですね。はっきり言って映画版よりもひどい代物なので、記憶から消してください。

繰り返しますが、これではなくて1995年のテレビドラマ「リング」のほうを強く推奨します。強く推奨するというのは、つまり、原作の良さを最も良く映像化できているという意味においてです。