不法滞在者はすべて犯罪者である
不法滞在の外国人をまるですべて犯罪者のように見るのはよくない、という趣旨の発言を最近ネットで何件も見かけた。それも X (Twitter) でアホな高校生が投稿しているといった程度ではなく、インテリ商売の人までが大っぴらに言っているのだから非常にタチが悪い。私はその都度、目が点になりつつため息をつきながら頭を抱えている。
曲がりなりにも大学を出て報道機関で働き世間に名を馳せているような人にまで、こんな根本的なことをわざわざ教えて聞かせないといけないのだろうか。
不法滞在とは、出入国管理法及び難民認定法(入管法)に定めるところのれっきとした犯罪(懲役、禁固、罰金の罰則規定もある)を指すので、当然ながら不法滞在者はすべて犯罪者である。「不法滞在の外国人をまるですべて犯罪者のように見るのはよくない」と言うのは、「無免許運転の人をまるですべて犯罪者のように見るのはよくない」と言うのと同様に意味不明だ。これは物の考え方や意見の違いの話ではないから、異論などあろうはずがない。
要点を繰り返す。不法滞在者はすべて犯罪者である。なぜなら、不法滞在は犯罪だからである。
ついでにもう一つ言っておく。母国において正規のパスポートを発給してもらうことができ、飛行機(通常の旅客便)で日本にやって来て居着き、母国の選挙の際には東京の大使館で在外投票のできるような人たちが、「難民」の定義に該当するとは考えられない。
なお、一方で、この種の議論において特定の国籍や民族名を名指しし、あたかも彼らがすべて不法滞在者であるかのような言い方をして排斥を煽るのは、問題の本質から目をそらさせる効果しかないのでよろしくない、ということも併せて指摘しておく。