酒は百薬の長とかいうことが長らく言われてきていますが、実際にはそうではなさそうだという研究結果が最近いくつも出てきています。

少量適度の飲酒であればむしろ体にいいという、従来のいかにも医学的根拠のありそうな説は、そもそもアメリカの酒造業界の息のかかった“研究”に基づくものだったのでは、という話も──

最近出てきている研究結果としては、簡単にいえば、適正な飲酒量なるものは存在せず、飲酒量と健康リスクは単純に比例するようだ、ということのようです。いわば、たばこと同じということですね。

別に、一滴でもアルコールを飲むと死ぬ、などと5年半前からのホーシャノー騒ぎみたいなヒステリックなことを言うつもりはありません。車の排ガスをちょっとでも吸うと死ぬ、と言っているようなものです。人間が普通に暮らしているだけである程度の健康リスクは伴うものですから、やたらに潔癖性になる必要はないですし、気にしすぎるとかえって精神衛生上よろしくありません。ただ、少量適度の飲酒であればむしろ体にいいという従来の俗説は疑うべきです。少量の飲酒なら心配するほどの健康リスクにはならないが、有害であることに変わりはなく、健康にいいなどということはあり得ない、と考えるべきでしょう。