雑居ビルから宇宙へ
学生の頃、都内に
その頃はまだ「空の価格破壊」なるものが起きる前で、日本発の国際線航空券が異様に高く、普通に航空会社で買えばノーマル・チケットしかないから香港往復でも20万円以上したように曖昧に記憶しているが、そんな中、団体ツアー用に安く仕入れた航空券を個人向けにばらして売る格安航空券屋がいくつも現れ、香港往復を10万円以下で売るようになり、大概それらは雑居ビルの一室で商売をする小さな店だった。秀もそんな店の一つだった。私は秀で買ったことはなかったが、貧乏旅行者なのでその名は知っていたし、料金問い合わせの電話を入れることぐらいはあった。
その店が、ある時「秀インターナショナルサービス」の頭文字を取って「H.I.S.」と名乗り始めた。そしてそのH.I.S.がテレビCMを打ち始めた時は、あの格安航空券屋がCMを流すほどの大手旅行代理店になったのかと驚いたのを覚えている。
驚きはそれで終わらなかった。そのわずか数年後には、何と、H.I.S.の社長が航空会社を作ってしまったのだ。その名をスカイマークという。日本におけるLCCの走りである。元が格安航空券屋だったことを知っていたので、この航空会社もどこまで行けるのだろうかと思ったものだが、私の予想を裏切って順調に成長していった。
その秀が、また新たな驚きをもたらした。
- 「ANAHDとHIS、有人宇宙機ベンチャーに出資 7年後の運航支援」 << 「ロイター」
都内の雑居ビルの小さな店舗から始まったビジネスは、この先どこまで行くのだろう。