13日に起きたオスプレイの事故について「不時着」なのか「墜落」なのかという論議が、しばらくネットで巻き起こっていました。

結論からいえば、どっちでもいいので、好きなほうを使えばいいと思います。

報道から得られる情報や現場の映像に基づくという前提でいうなら、あれはテクニカルには「不時着」にカテゴライズされるはずです。しかしながら「不時着」も状況によっては「墜落」と一般に表現されることがないわけではないですし、特に英語では「墜落」に “crash” というやや曖昧で意味の広い単語を使いますから、別に「墜落」と言いたい人は言えばいいと思います。

ただし、テクニカルにはあくまでも「不時着」であると考えられる、という点は繰り返しておきます。

「墜落」であるとする人々の言い分で多いのは、「機体があんなに大破しているのだから『不時着』であるわけがない」というものでした。正直、私は当初、このアホどもは何を言っているのかと、さっぱり意味が分かりませんでしたが、しばらく考えてようやく何となく分かってきた気がします。

たぶん「不時着」という言葉から多くの人々が連想するのは、USエアウェイズ1549便不時着水事故(いわゆる「ハドソン川の奇跡」)のような“きれいな不時着”なのでしょうね。ですが、あれはまさしく文字通り“奇跡”の例でして、不時着というのはいつもああいうふうにきれいに成功するものではありません。着水の衝撃で機体が分解することはあります。不時着水というのは素人が考えるのよりかなり危険を伴うものなのです。航空機事故にある程度の関心を持っている人なら、誰でも知っていることです。

“不時着とはいえない墜落”であれば、機体の損壊はあの程度では済みません。ほんっとうにグチャグチャ、バラバラになります。

ですから、今般のオスプレイの事故は、テクニカルにはあくまでも「不時着」であると考えられます。けれども「墜落」と言いたい人は言えばいいと思います。ただし「機体があんなに大破しているのだから『不時着』であるわけがない」という言い分には理がありません。理のないことをいつまでもしつこく言い続ける人には、何らかの意図があるのではないかと勘ぐらざるを得ませんね。