昨夏、18歳選挙権を機に書かれた古い記事になるが、私は昨日これを読んで心底呆れ返った。

つまり要約すると、〈若者に多い自民党支持者は同調圧力に流されているだけだから、選挙に行くな、棄権しろ〉という趣旨である。単に自分の政治信条に沿わない者たちを馬鹿にし、選挙に行くなと言っているのである。

森達也氏は民主制というものをそもそも全く理解していないようだ。またもや私の常套句を使わせてもらうことになるが、彼は中学の公民の授業から受け直してこなければならない。

これも私が常々言っていることだが、おかしな話というのは逆の状況を想定してみれば簡単におかしいと分かる。すなわち本件についていえば、右派系文化人が「野党支持者は甘い言葉に釣られているだけだから、選挙に行くな、棄権しろ」と言っている場合のことを考えてみればいい。

かつてSEALDsが「民主主義って何だ!」「これだ!」とシュプレヒコールをしていたことに象徴されるように、セーギノミカタやカツドーカにとってのミンシュシュギとは、自分たちに同調する者たちだけによる意思決定制度のことであり、一般の日本語ではそれを「独裁制」または「寡頭制」という。

そして森氏の言説もこれに異ならない。そう、民主制というものを理解していないのだ。しかも中学生レベルで理解していない。物事を決めるのに、みんなでとことん話し合った末に多数決を採るというのは、小学校の学級会でも普通にやる民主制の根本だが、森氏にはその程度の知見もない。

このような者たちもしくは彼らの推す勢力が権力をつかんでしまったとき、どのような恐怖政治が訪れることになるかは、あまり想像したくない。それにちょっと近いものを、われわれは民主党政権時代に経験したことがあるわけだが。