近頃では、日本国内には北朝鮮の工作員がいると言っただけでも「在日コリアンに対する憎悪を煽りかねない」などとたたかれるようである。そして、そういうふうにたたいているのが、ふだんは「ウケーカする日本社会」とか「このままでは物言えぬ社会になる」などと騒ぐのが好きな種類の者たちであるところを見るに、「物言えぬ社会」にしようとしているのは一体誰なのかと言いたくなる。

三浦瑠麗氏に限らずだが、国内には北朝鮮の工作員がいるという旨のことを言うとき、一部の頭のおかしい連中が言う場合は別として、在日コリアンすべてを工作員だと言っているわけではない。むしろ、工作員とりわけスリーパーセルの多くは、たぶん在日コリアンではない身分を獲得して隣近所で生活していると考えるべきものだろう。

国内に北朝鮮の工作員がいるというのは、いわゆる公然の秘密というやつだろう。証拠を出せと言われても簡単に出せるものではないが、事実、工作員による拉致事件が過去にあり、日本のパスポートを偽造した工作員による航空機爆破テロが過去にあり、現在でも深夜にラジオのチューニング・ダイヤルを手で回せば怪しい電波がいくらでも拾えるのだから、工作員がいると考えないほうが無理というものである。

むしろ、国内に北朝鮮の工作員がいるという言説を躍起になってたたいている者たちの意図のほうこそ、怪しいと思われてならないのだが。